2020-01-01から1年間の記事一覧

可能と現実ーアンリ・ベルクソン

進化の各瞬間の根本的な新しさを見損なう学説の底には、数多くの誤解と多くの誤謬が存在する。しかしとりわけ、可能なものは現実のものより少なく、したがって事物の可能性はその現実性に先立つという考えがそこにある。 この考えによれば、事物は前もって表…

社会理論入門―ニクラス・ルーマン講義録〈2〉(2)

つまり、現実はただ一つであるにもかかわらず、言語という装置がこのように二重化されているのはなぜか、という点です。わたしたちが入室してすし詰めの状態になっていようとなかろうと、この講義室はこの講義室です。いかなる否定形の講義室も存在していま…

社会理論入門―ニクラス・ルーマン講義録〈2〉

二分コードとは次のようなものです。あることは真か偽かのいずれかである、あるものはわたしの所有物であるか所有物でないかのいずれかである。彼または彼女はわたしのことをほんの少しだけ愛している、あるいは愛しているときもあれば愛していないときもあ…

プラトン「メノン」

「蜜蜂にはいろいろとたくさんの種類があって、それらは互いに異なったものであるというのは、それらが蜜蜂であるという点においてそうなのだと、君は主張するのかね?それとも、その点では、それらは互いに少しも異なるものではなくて、何か他の点、たとえ…

命題集註解(オルディナティオ)第一巻第三区分 (ヨハネスドゥンス・スコトゥス)

この種[必然的命題]の知に関して言えば、知性は感覚を、[知識の]原因としてではなく、ただ[知識を受け取る]機会としてもつのみである。なぜなら、知性は感覚から受け取られたものなしには単純なものどものの知解[名辞]をもつことができないのである…